ここでは、代表的な就職先を一通り整理したうえで、多くの学生が見落としがちな選択肢についても紹介します。電気電子工学科ならではの専門知識を武器に、自分に合ったキャリアを見つけるための参考にしてください。
電気電子工学科の卒業生が就職するフィールドは非常に幅広く、業界を横断して活躍しています。ここでは代表的な就職先を業界別に整理します。
電気電子工学科の学生がもっとも多く就職するのが、電機・電子メーカーです。パナソニック・三菱電機・日立製作所・ソニー・東芝などの大手電機メーカーをはじめ、村田製作所・TDKなどの電子部品メーカー、さらには半導体メーカーや精密機器メーカーなど、幅広い企業で活躍できます。主な職種は、研究・開発職や電子回路設計職、製造技術職など、大学での学びを直接活かせる職種が多いのが特徴です。
ただし、研究・開発職を目指す場合は大学院への進学が有利とされるケースも多く、競争率も高い傾向にあります。学部卒での就職を考える場合は、製造技術職や品質管理職なども視野に入れて企業研究を進めると選択肢が広がります。
情報・通信業界も電気電子工学科の学生が活躍できる業界です。NTTデータ・日本IBM・富士通など大手ITやSIerをはじめ、ネットワーク機器メーカーや通信会社での勤務も選択肢に入ります。電気電子工学で学ぶ信号処理・通信工学・組み込みシステムの知識は、IoTデバイスの開発やネットワークインフラの構築において強みを発揮します。
近年はハードウェアとソフトウェアが融合する分野が拡大しており、電気系のバックグラウンドを持つエンジニアは、ソフトウェアだけのエンジニアとは異なる視点から設計に貢献できるとして、IT業界でも重宝されるケースが増えています。
九州電力・関西電力・東京電力をはじめとする電力会社や、電気工事会社は、電気電子工学科の専門性が花形として活かせる業界です。電力会社では電気エンジニアが中心的な役割を担うため、メーカーに比べてキャリアの主役を張りやすいという特徴があります。電気主任技術者などの国家資格を取得することで、電力インフラの設計・保守・監督に携わる技術者としてのキャリアを着実に歩めます。
また、近年ではカーボンニュートラルへの対応として再生可能エネルギー分野の投資が拡大しており、太陽光発電・蓄電池・省エネシステムに関わる技術者の需要も高まっています。インフラ企業ならではの安定感に加え、時代の変化に関わる仕事への参画機会が増えている点も魅力のひとつです。
自動車業界は現在、「100年に一度の大変革期」と呼ばれるほどの転換点を迎えています。EVへのシフトや自動運転技術の進展により、電気電子工学の専門知識を持つ人材へのニーズが急速に拡大しています。バッテリー管理システムの開発・充電制御技術・センサー回路設計など、従来の機械系エンジニアだけでは対応しきれない領域が増えており、電気系出身者が即戦力として評価される場面が増えています。
トヨタ・ホンダ・三菱自動車などの完成車メーカーだけでなく、電子部品を供給するサプライヤーや重工メーカーなど、裾野が広い業界であるため就職先の選択肢も豊富です。
見落とされがちですが、建設業・設備工事業も電気電子工学科の卒業生が活躍できる業界のひとつです。実際に複数の大学の就職実績データを見ると、電気電子工学科の卒業生が建設業に就職しているケースもあります。
建設業のなかでも「設備施工管理」という職種は、建物の空調・電気・衛生設備の工事を管理する仕事です。電気電子工学科で学んだ制御システムや電気回路の知識が直接活きる職種であり、国家資格の取得やキャリアアップの道筋が明確な点も魅力です。
設備施工管理は、施工管理のなかでも「設備」の工事を専門とする職種です。建物の骨組みをつくる建築施工管理とは異なり、建物の内部に命を吹き込む設備——空調・電気・衛生(給排水)——の工事全体を取り仕切る役割を担います。電気電子工学科の学生にとって、このフィールドが想像以上に活躍しやすい理由があります。
設備施工管理の仕事は大きく「工程管理・品質管理・安全管理・原価管理」という4つの管理業務を中心に構成されています。工事の計画を立て、職人(施工業者)が安全かつ正確に作業を進められるよう現場を調整し、品質と予算を守りながらプロジェクトを完成へ導くのが主な役割です。設計段階では図面の作成や積算にも携わります。
設備施工管理の面白さのひとつは、多様な関係者と連携しながら仕事を進める点にあります。施工業者(職人)・設計士・メーカー担当者・建設会社・建物のオーナーなど、異なる立場の人々の間に立ち、プロジェクト全体をコーディネートする調整役として機能します。技術的な知識だけでなく、コミュニケーション力や段取り力も鍛えられる職種です。
空調設備の施工管理であれば、空調機器の設置・ダクト配管の管理・制御システムの試運転調整といった業務に携わります。電気設備の施工管理であれば、配電盤の設置・屋内配線・制御回路のチェックなどを担当します。「ビルオートメーション(BA)」と呼ばれる建物全体の設備を一元的にコントロールするシステムの施工管理では、電気電子工学の知識が特に重要になります。
設備施工管理のなかでも、特に「自動制御(計装)」の分野は電気電子工学科の学びとの親和性が高い領域です。ビルオートメーションとは、建物の空調・照明・熱源・換気などの設備を、センサーやデータを活用してインテリジェントに制御し続けるシステムのことです。電気電子工学科で学ぶ電気回路・制御工学・センサー技術・通信工学の知識は、この分野で直接的な強みになります。
また、設備施工管理の仕事では施工図(電気系統図・制御フロー図など)を読み解いたり作成したりする場面が多く、電気電子系の知識がある人材は現場でのキャッチアップが早いと評価されます。近年は省エネ技術・スマートビル・カーボンニュートラルへの対応として、より高度な制御システムが建物に導入されており、電気電子系の専門知識を持つ人材への期待がますます高まっています。
さらに、設備施工管理の仕事はメーカーのように特定の製品だけを扱うのではなく、一棟の建物全体の設備システムをトータルで把握する経験が積めます。空調・電気・衛生・制御を横断した広い視野を持って成長できる点が、専門特化型の職種とは異なるキャリアの魅力です。
設備施工管理の仕事内容や将来性については、下記の記事でも詳しく解説しています。
電気電子工学科の学びを活かして設備施工管理として活躍できる企業のひとつが、東テク株式会社です。1955年の創業から70年近くにわたり、建物設備の「自動制御(ビルオートメーション)」分野を牽引してきた東証プライム上場企業です。
東テクの仕事は、ビルオートメーションの設計・施工にかかる図面の作成・施工管理・保守管理、そして省エネ・創エネシステムの設計・施工管理および提案営業です。空調・計装・自動制御・電気設備を一体的に扱う会社であるため、電気電子工学科で学んだ制御技術・電気回路・センサー技術の知識が幅広く活かせる環境が整っています。
資格取得支援も充実しており、一級管工事施工管理技士・第一種電気工事士・エネルギー管理士・電気主任技術者など、実務に役立つ国家資格の取得を会社がバックアップしています。受験料補助・資格取得一時金・資格手当といった制度が用意されており、年収アップと専門性の向上を同時に目指せます。
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